また、フランス語聞き取りのための動画をご紹介する。

話しているのは、Naissance du Coran(コーランの誕生)という、狂信的なイスラム主義者の暴力とコーランを読むこととのの関係について本を書いた著者、Michel Benoit 氏だ。

とってもわかりやすく話してくれる人で、ジェスチャーも交えているので、かなり聞き取りやすいほうだ。



概ね、下記のような内容。

トゥルーズとモントーバンで起きた殺人事件の犯人(モハメッド・メルメラ)は、一人でコーランを読んで、殺人にまで至った。このような極端な行為に人を導くとは、一体、コーランにはどのようなことが書いてあるのだろうか?

少数の狂信的なイスラム教信者と平和的な信者を混同してはいけないと言われるが、どちらも同じコーランを引き合いに出すではないか?

se réclamer de :~を援用する、~を引き合いに出す
Les uns comme les autres, ne se réclament-ils pas le même texte?
「どちらも同じテキストを援用しているではないか?」

この疑問から、私は、コーランに興味を持っていった。

全く新しい著作を著したと主張するわけではない。この本は、これまでの研究者によるコーランの総括を試みたものだ。
私がしたかったのは、読者にコーラン理解のための鍵を与え、疑問をもつことを促し、思考を促進したかったのだ。

著作にあたって、困難な点も多かった。

一つは、コーランの言葉が、アラブ人にとっても難しい言葉で書かれていること。
二つ目は、パズルのピースをテーブルにばらまいたようなコーランの構成。
最後は、文章にほのめかしや、"…"などの表記が多く、翻訳についても意見が一致していない部分があること。

私は、ひとつの疑問もそのままにしておきたくはなかったので、最終的には、ユダヤ教の起源まだ遡り、そこから、ユダヤ・キリスト教徒の著作までの変遷を追わなければならなかった。

なぜかと言えば、コーランは、本質的には、ユダヤ・キリスト教の書物だからだ。
コーランの著者たちは、ユダヤ教徒であると同時にキリスト教徒でありたかった。ただ、彼らは、そのどちらをも超えて、新しい第三の啓示を提示したかったのだから、ユダヤ教やキリスト教は、コーランの教えと比べて、古臭く、不道徳なものだと主張する必要があった。

caduc すたれた、古臭い
pervers 不道徳な

このため、彼らは、人類を、コーランの教えに従う人たちと、それに従わないひとに分ける必要があった。この考えをメシアニズム(messianisme)という。
このメシアニズムはユダヤ教のなかで出てきたものだが、のちのキリスト教や、全体主義やナチズムなどに影響している。

私は、イスラム教徒の方々にも、彼らに禁じられている、コーランを歴史的なテキストとして批判的に読むということを促したかった。
キリスト教徒は、聖書に対して、一世紀半前に、この歴史的、批判的な解釈という作業を行っており、それにより、キリスト教は、その他の人々と和解し、近代に進むことができた。

exégèse 解釈、注釈

最後に私は、3つの章で、メシアニズムの劇的な影響について述べている。

・ひとつは、女性に対する軽蔑(ほとんど憎悪)。 なぜか?
・初期の全体主義的な社会の誕生。 どのようにして?
・聖戦や神のための殉死への呼びかけ。 いったいどこまでいくのか?

もしあなたが、この本を開いた時より、閉じたときに、より多くの疑問を持ったのであれば、私の時間が無駄にならなかったと言えるでしょう。

Naissance du Coran : Aux origines de la violence
Naissance du Coran : Aux origines de la violenceMichel Benoît

L'Harmattan 2014-04-28
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